全ての企業において、生産性向上は〇〇の棚卸からスタートする ~明日から社内で取り組める「働き方改革」とは~

今回のテーマ:「全ての企業において、生産性向上は〇〇の棚卸からスタートする ~明日から社内で取り組める「働き方改革」とは~」

今回は、ChatWork株式会社 CEO 山本敏行様にお話を伺ってきました。

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▲CEO 山本敏行様

1979年3月21日 大阪府寝屋川市生まれ
2000年 中央大学商学部在学中に、EC studioを創業。
2011年 クラウド型のビジネスチャットツール「チャットワーク」の提供を開始
2012年 ChatWorkに社名を変更。米国法人をシリコンバレーに設立

全ての企業において、生産性向上は〇〇の棚卸からスタートする

松永:今日は、「仕事の効率化」を「チャットワーク」というコミュニケーションツールを活用して実現している、ChatWork株式会社 CEO 山本敏行様にお話を伺います。まずは、今、日本で多くの企業が取り組んでいる働き方改革について、どう感じているのか、教えてください。

山本:理想を高く掲げているイメージがあります。今やろうとしている日本の働き方改革って、実はシリコンバレーより進んだ働き方改革なんですよね。日本の働き方改革っていうと、キーワードとしては「副業OK・リモートワーク推奨・長時間労働禁止...」とありますが、経営者の立場としては、雇用を守りながらすべてを取り入れるのは、難しいです。やっぱり、自分も組織も一気に変われないですよね。人の気持ちとか行動とかって、徐々に変化していかないといけないと思っています。そうなってくると、最初に「副業OK・リモートワーク推奨・長時間労働禁止...」を掲げてそこに走っていくのは、なんか違うんじゃないかと思うんですよね。

松永:では、まず初めに企業が取り組むべき「働き方改革」って一体何になるんでしょうか?

山本:「業務」の棚卸ですね。今何があって、何が無駄で何が必要なのかってところを、改めて客観的な視点をもったうえで判断する必要があります。これはいらないから捨てられるよね、とか。逆に、これをやった方がいいよね、みたいに。今あるものをしっかり見直して、改善していくのがいいと思っています。働き方改革は、一朝一夕にはできないことを理解した上で、1段ずつクリアする課題を見つけて解決していくのがいいですね。

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今まで中小企業は、業務改善の意識がもう一歩足りていないところがあったのですが、現在の「働き方改革」の勢いで意識が変わってきている企業がたくさんあると思います。意識が変わるというのはとてもよいことだと思うので、一気に「副業OK、リモート推奨、長時間労働禁止」のルールを明確な目的を持たずに設けるのではなく、まずは目の前の業務を棚卸するところから始めてほしいです。それがしっかり地に足がついた働き方改革になると思います。

松永:「業務の棚卸」を実際に自社でやっていく際、たとえば社員の方から「なんで必要なの?」という疑問の声があがることがあると思います。そんなときは、どうしたらいいでしょうか?

山本:そうですね。中小企業が動くきっかけって「危機感」だと思うんです。普段は売上が上がる方法や、利益をあげるための方法に意識がいってしまいがちです。だから単純に意識を変えていくのであれば、例えば退勤時間をいつもより早く設定して、この時間までに仕事終わらせるように各自工夫してくださいって言ってしまうとかどうでしょうか。みんなで一緒に生産性をあげましょう、ではなくて、あげるためになにか考えなくてはいけない環境にする、ということですね。

松永:きっかけをつくって、危機感を持ってもらい、行動に移してもらうということですね。意識だけで実際どのくらい変わるのでしょうか。

山本:最近、ある会社で面白い話をききました。その会社では、朝7時から夜1時まで働くことが当たり前になっていたんですね。それも営業日は毎日繰り返していたんですよ。従業員数は1000人を超えている規模です。その会社が21時完全退勤のルールを設けたんですね。結局どうなったのかっていうと、前と同じ仕事量であるにも関わらず、21時に退勤できるようになったそうです。やったことは、意識を変えただけと言っていました。そのくらいで変わるみたいですよ。

松永:それは、すごいですね。

山本:その状態で業務の棚卸を入れて、一つずつ考えていけば、今ある仕組みを変えなくても業務改善が大きく進みます。社長や、役員の方が一言「はじめよう」と言ってくれれば、動き出せると思いますね。業務の棚卸期間は1週間でも、3日でもいいんです。何にどのくらいかかったのかを把握できれば、いる・いらないに振り分けることができますから。

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