緊急事態宣言が再発令された今 テレワークに必要な企業対応とは?

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2度にわたる緊急事態宣言を経て、いまやテレワーク制度の実施は、現代企業の義務とも言えるような存在となりました。コロナという言葉が世に飛び交うようになってから早1年が過ぎようとしており、この1年間の中で、コロナ収束後もテレワークを継続する必要性が明白となりつつある現状です。

いまだに模索を続けている企業も少なくない状況となっており、普及率も芳しくはありませんが、1回目の緊急事態宣言発令時と現在では、企業が感じている課題点に変化が見られます。

非常に流動的な環境ではありますが、現状を打破するためには、落ち着いた頃に出る答えを待つのではなく、現時点での課題点を的確に把握することが肝要です。そこで今回は、2回目の緊急事態宣言が発令された現在のテレワークにおける課題を抽出し、解決するために必要な企業対応について解説していきたいと思います。

緊急事態宣言発令後におけるテレワーク普及率の推移

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画像出典元:パーソル総合研究所「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する影響調査」(株式会社パーソル総合研究所)

テレワークの実態や課題を定量的に把握することを目的として、全国の正社員を対象に2万人規模で実施されている株式会社パーソル総合株式会社の調査結果によると、2020年4月7日に発令された1回目の緊急事態宣言時を頂点に、第3波とされる現在までのテレワーク実施者数は緩やかな減少傾向となっています。

1回目の緊急事態宣言が発令される前と比べると、約2倍の実施率となって以降はほぼ横ばいの状態です。ただ、約2倍の実施率となる直前の3月中旬における内訳は、「現在の会社で初めてテレワーク(在宅勤務)を経験した人」が47.8%と半数近い割合を占めていました。

さらに4月に突入すると、この数字が68.7%へと大幅に増加。いわゆるテレワーク初心者の割合が約7割を占める結果となりました。同時に、コロナ収束後のテレワーク継続希望率も上昇傾向が続いておりますので、テレワーク実施者数の減少要因は、テレワークそのものが肌に合わなかったのではなく、テレワークの継続を妨げる何かが存在しているためと想定されます。

「テレワークをしていない理由」に変化が見られるようになった

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画像出典元:パーソル総合研究所「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する影響調査」(株式会社パーソル総合研究所)

実際に、テレワーク非実施者が「テレワークをしていない理由」にも変化が見られるようになりました。

実施者が増えるにつれ回答数が多くなっていた「テレワークで行える業務ではない」という理由が直近では減少傾向に転じており、反対に、「テレワーク制度が整備されていない」「テレワークのためのICT環境が整備されていない」などの理由が徐々に増加しています。

この結果は、テレワーク実施の可否を判断する対象が、「テレワークという働き方」から「テレワーク制度の未成熟さ」へ移り変わっていると言い換えることもできるでしょう。

いま現場で挙げられているリアルな課題については、以下の記事で詳しく解説しております。よろしければ本記事と併せてご覧ください。

「緊急事態宣言下で必須のテレワーク!導入できない企業への解決策」

https://anyplace.jp/telework-thirdplaceoffice/

企業規模別では従業員数によりテレワーク実施率に倍以上の差がある

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画像出典元:パーソル総合研究所「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する影響調査」(株式会社パーソル総合研究所)

また、企業規模別(従業員数別)におけるテレワーク実施率の格差についても見過ごせません。従業員数が1万人以上の大企業では45%、100人未満の中小企業においては13.1%のテレワーク実施率となっており、企業規模による大きな格差が広がっている現状です。

テレワーク制度を敷くにあたり、人員や予算、時間などのリソース差による影響は無視できないため、当然と言えば当然の結果かもしれません。コロナ禍では特例的な支援制度が多く用意されたとはいえ、設備投資にかかる資金の持ち出しが必要なケースや、キャッシュが入るまでに時間がかかるケースもあるため、活用に踏み切れない企業も少なからず存在しているのではないでしょうか。

コロナ対策だけではない!今後も企業がテレワークの実施を続けるべき理由とは?

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こうした現状があるのにも関わらず、企業のテレワーク実施に対する関心は高まるばかりのように思えますが、それもそのはず。働く場所の制限がなくなるテレワークは、感染症対策として有用であるばかりではなく、平時の企業経営においても多大なるメリットをもたらす働き方だからです。

BCP対策

自然災害やテロ被害などの有事の際において、事業の継続や早期復旧の可否を左右するBCP(Business Continutiy Plan:事業継続計画)対策。今回のパンデミックにおいては、緊急事態宣言に伴う外出自粛が求められた影響を受け、オフィスへの出社が困難となった状況下で、テレワークという働き方が事業継続の要となりました。また、顧客サポートや商談といった営業面もオンライン化できるテレワークは、物理的な緊急事態に伴う経済ショックに対するリスクマネジメントとしても大きな役割を果たします。

BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

        引用元:中小企業BCP策定運用指針(中小企業庁)  

ランニングコストの削減    

テレワークを実施すれば、必ずしもオフィスへと出社する必要はありません。そのため、オフィスとして賃貸するスペースを縮小したり、場合によってはオフィスを手放すという選択も可能となり、ランニングコストの削減に繋がります。

賃料が割高な都心部に本社オフィスを構える企業にとっては、見過ごせないメリットではないでしょうか。オフィス機能の移転は一筋縄ではいきませんが、会社や自宅を除いた第3の場所である「サードプレイスオフィス」を活用することで、より柔軟なテレワーク制度を整備することが可能となり、スムーズなオフィス機能の移転にお役立ていただけます。

サードプレイスオフィスの詳細については、以下の記事をご参照ください。

「一人にひとつの働き方を提供したい ―サードプレイスオフィスという選択肢―」

https://shikumi-ken.jp/2020/05/thirdplace.html

雇用機会の拡充

これまでは本社オフィスへの出社を前提とする働き方が一般的とされており、必然的に通勤圏内に居住する人材のみが雇用対象でした。そのため、地方に在住する優秀な人材を雇用する機会を失い続けてきた一面があります。

勤務場所の条件が緩和されるテレワークでは、このような制限もなく、全国各地の人材を採用対象とすることができるため、雇用機会の拡充に有用です。少子化による労働人口の減少が著しい現代において、企業にとっては希望とも言える社内制度かもしれません。

従業員の離職防止

柔軟性が高いテレワークを上手く活用できれば、従業員一人ひとりに合った多様な働き方を実現することが可能です。勤務場所や勤務時間を臨機応変に設定しやすいテレワークは、あらゆるニーズに対応できるため、これまでどうすることもできなかった、ライフステージの変化や家庭事情による離職防止に効果が期待できます

単に人材流出を防ぐためだけではなく、従業員のキャリア継続にも繋がりますので、企業と従業員の双方にとって魅力的な働き方であると言えるでしょう。

オフィス出社に戻さないために!テレワーク制度の整備時に企業がチェックしておくべき6つのポイント

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企業が今後も継続してテレワーク制度を実施することの重要性はご理解いただけたかと思いますが、慣れないテレワークを実施するとなれば、現場では課題も山積みになりがちです。ここからは、テレワークで業務を遂行するにあたり押さえておきたいチェックポイントを解説していきます。

1.セキュリティ対策

オフィスの外で働くことになるテレワークでは、入念なセキュリティ対策が必要です。具体的な対策内容は、企業側がテレワーク環境を提供しているかどうかにより違いはありますが、いずれの場合も従業員へのサイバーセキュリティに関する知識共有は欠かせません。

特に、カフェなどの公共の場においては、覗き見といった物理的な情報漏洩リスクも考えられます。従業員全員がセキュリティ対策に関する知見があるとは限らないため、セキュリティソフトなどの内部的な対策だけではなく、外部的な対策にも目を向けておくと安心です。

2.快適な通信環境の確保

あらゆる業務をオンラインで行うことになるテレワークにおいて、快適な通信環境の確保は最優先事項です。とはいえ、全従業員の自宅に一定水準以上の通信環境を用意するとなると、それなりのリソースが必要となりますので、対応がむずかしいケースもあるかもしれません。

このような場合には、カフェやコワーキングスペースなど、すでにテレワークのための作業環境が整っているサードプレイスオフィスを勤務地として認めることで問題を解決できます。

3.見えやすい労務管理の徹底

テレワーク課題のひとつに、柔軟性と反比例して複雑化する労務管理が挙げられます。必然的に従業員へ委ねる部分が大きくなる働き方であるため、ブラックボックス化しやすいことが理由です。

従業員の不満や企業経営の透明性に直結する大事なポイントであるため、テレワーク向けの労務管理システムを活用するなど、徹底した対策を講じることをおすすめします

4.評価基準の再考

これまでの働き方と比べ、部下や上司、同僚同士で顔を合わせる機会が著しく減少するテレワークでは、多くの場合で評価基準を再考する必要があるでしょう。

以前まではすぐ目の前で確認できた部下の仕事ぶりが可視化できなくなったとはいえ、過剰な監視体制や進捗確認は、関係性の悪化や生産性の低下にも繋がりかねません。

よりタスク重視の評価基準へ路線変更するなど、双方にとって負担の少ない方向へ進めていくことが重要です。

5.進捗管理・コミュニケーション方法の選定

オフィスでは気軽に取れていたコミュニケーションも、テレワークでは心理的なハードルが上がってしまうため、おっくうになりがちです。そのため、業務に関するやり取りのみで1日の勤務が終了してしまうケースもめずらしくありません。

何気ない雑談が仕事に与える影響も少なくないため、オンライン朝礼を実施したり、雑談専用のチャットルームを用意するなど、意識的にコミュニケーション機会を創出してみてはいかがでしょうか。

6.休憩時間や服装に関する規定

仕事とプライベートの切り替えがむずかしい在宅勤務では、働きすぎによる身体的な負担や、過度な気遣いによる心理的な疲労を防ぐためにも、休憩時間や服装に関する規定を明確にしておいた方が賢明かもしれません。

とはいえ、自宅が勤務場所として適さない環境にある従業員も多いため、快適なテレワーク環境を整備するためには、働く場所を見直すなど多方面からの配慮が必要です。

テレワークで活用したいおすすめツール・サービス・アプリ5選

最後に、テレワークで活用したいおすすめツールやサービス、アプリをご紹介します。昨今では、テレワーク向けのプロダクトが続々と登場しており、これらを上手く使いこなすことにより、快適なテレワーク環境を実現することが可能です。現状のテレワーク制度に課題を感じていたり、リソースが足りずテレワークの実施に踏み切れない企業は、ぜひ導入をご検討ください。

1.Chatwork

img-cap-chat.png画像出典元:Chatwork(Chatwork株式会社)

テレワークにおけるコミュニケーションには、必須とも言えるビジネスチャット。「Chatwork」は、メールや電話はもちろんのこと、会議や訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的に行える、国内利用者数No.1を誇る中小企業向けビジネスチャットです。

日本法人が開発・サポートしているということもあり、日本のビジネスシーンで必要とされる機能が不足なく実装されているほか、日本人にわかりやすい操作性となっています。テレワークで初めてビジネスチャットに触れる場合には、ぜひお試しいただきたいコミュニケーションツールです。

Chatwork...https://go.chatwork.com/ja/?click=header-navi

2.anyplaceパスポート

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テレワーク勤務地の選択肢を手軽に増やしたい場合には、ライセンス型のワークスペース定額使い放題サービス「anyplaceパスポート」がおすすめです。ユーザーに紐づいた契約ではなく、ライセンス型の契約であるため、時間帯をずらせば全角各地にある提携施設を従業員全員でシェアできるほか、入退室の状況をリアルタイムで確認することも可能。

迅速なテレワーク体制への移行にはこの上ないサービスとなっており、テレワーク勤務地として認めるサードプレイスオフィスの数が増えれば増えるほど、複雑になる管理部門の問題解決にお役立ていただけます。

anyplaceパスポート...https://anyplace.jp/anyplace-passport/

3.Zoom

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画像出典元:zoomZoom Video Communications Inc.

コロナ禍において、ビジネス用途に限らず注目を集めたビデオコミュニケーションプラットフォーム「zoom」も、いまやテレワークになくてはならないツールのひとつです。

ビジネスシーンにおいては、オンライン会議や従業員同士のコミュニケーションを目的とした利用にとどまらず、ウェビナーやオンラインイベントなど幅広い用途に活用されています。工夫次第では、単なるテレワーク制度の一端としてではなく、今後のビジネスチャンスの創出にも期待が持てるかもしれません。

zoom...https://zoom.us/jp-jp/meetings.html

4.kintone

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画像出典元:kintone(サイボウズ株式会社)

さまざまなテレワーク向けサービスが登場している昨今ですが、数多くのサービスの中から、自社の業務にフィットするものを見つけることは容易ではありません。そこでおすすめしたいのが、開発知識を必要とせず、自社の業務に合わせたシステムを簡単に作ることができるクラウドサービス「kintone」です。

あらゆる業種や職種に合わせてカスタマイズできる汎用性の高いサービスであるため、テレワークで重要視されている業務の可視化にお役立ていただけます。

kintone...https://kintone.cybozu.co.jp/

5.Googleドライブ

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画像出典元:Google ドライブ(Google LLC)

データのやり取りが頻繫に発生するテレワークでは、リアルタイムで共同編集ができるオンラインストレージサービス「Googleドライブ」が便利です。パソコンやタブレット、スマホなどのデバイスに関係なく、URLひとつで簡単に共有・アクセスが行えます。

既存のツールからデータを移行する必要もありませんので、導入初日から、スムーズなプロジェクト進行を実現することが可能です。そのため、テレワーク制度への移行にあたり、ペーパーレス化から始める場合においても、非常に優秀なサービスとなっています。

Googleドライブ...https://www.google.com/intl/ja_jp/drive/

まとめ

テレワークにおける課題は、企業によりさまざまです。まずは自社の課題を的確に把握し、最適なソリューションを模索することが、理想のテレワーク環境を整備するための第1歩となります。せひこの機会に、本記事でご紹介したプロダクトをはじめ、まだ触れたことがない技術やサービスも積極的に活用し、テレワーク制度の充実にお役立てください。

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