一人にひとつの働き方を提供したい ーサードプレイスオフィスという選択肢ー
サードプレイスオフィスとは?
「サードプレイスオフィス」。聞き慣れない言葉ですよね。
「自宅」でも「オフィス」でもない、「第三の場所」を従業員が働くことのできる空間として認めることで、一つの場所に縛られない、一人にひとつの働き方を提供したいという思いからうまれた言葉です。
「自宅」(第一の空間)でも「オフィス」(第二の空間)でもない第三の働く場所「サードプレイスオフィス」という発想。これは現在弊社が取り組んでいる働き方改革のひとつです。
従来であれば、会社に雇用されるということは、本社や営業所、出張所といった、会社が用意するオフィスで働くということが前提になっていました。
一方で、IT技術の進化により、クラウドサービスを活用して、社外でも社内にいるときと同じように働ける環境をつくれるようになってきました。たとえば、「Google ドキュメント」や「Google スプレッドシート」などの、資料をクラウド上で編集・共有できるサービスを使えばオフィス以外の場所からでも必要な情報にアクセスすることができるようになります。また、「Chatwork」や「Slack」などのチャットツールを使えば、遠隔でもほぼリアルタイムで気軽にやり取りができます。それはまるで、隣の席の人に声をかけることができるように、フットワークの軽いコミュニケーションが取れるのです。顔を見たくなったらweb会議ツールの「Zoom ミーティング」や「Google Meet」を使用すればいいですし、電話に関しても、今は、物理的な電話交換機(PBX)を必要とせず、クラウド上のPBXとソフトウェアのみで会社宛の電話が取れるクラウドPBXのサービスがあります。会社にいなくても、会社にかかってくる電話を、アプリで取ることができるのです。このように、会社以外の場所、例えば自宅での就業といった、オフィスに縛られない働く場所の選択肢を選ぶことが可能な環境が世の中に整いつつあります。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、この流れを一気に加速させました。密閉された空間に多くの従業員がひしめくオフィスでの就業というスタイルは、いわゆる「3密」として、感染拡大防止の観点から敬遠されるようになりました。代わって在宅による「リモートワーク」や、満員電車を避ける目的での「時差出勤」などの導入が、ここ数ヶ月で急速に広まりつつあります。
緊急事態宣言が解除され、経済活動は以前の状態へと戻りつつありますが、今後新型コロナウイルス感染の第二・第三の波が来るとも言われおり、今後もこの「オフィス以外での就業」や「時差出勤」というスタイルは、拡がりを見せていくことが予想されますし、必要とされる働き方の選択肢の一つになると考えています。
サードプレイスオフィスで働く利点とは?
今回の新型コロナウイルスの影響で、仕事場が自宅になったという方もたくさんいらっしゃると思います。実際、会社に行く必要がなく、自宅でも仕事ができる環境が整えられているならば、職場への移動時間が0分である自宅で働きたいものです。
一方で、自宅の中に「働く場所」をつくるのは、簡単なことではありません。。
育児や介護の現場ともなる自宅での就業は、プライベートと仕事を完全に切り分けることが困難であることも予想されますし、通信に必要なWi-Fiの環境が十分ではないと言ったハード面での制約もあるかもしれません。
そこで、自宅から近く、働くための環境が整っているコワーキングスペースなどの「サードプレイスオフィス」が大きな役割を果たすというわけです。
サードプレイスオフィスを使用することで、「プライベート」と「仕事」は切り離した存在になります。そのため、気持ちの切り替えがしやすく、業務に集中しやすくなると考えています。自宅だと、自分好みの娯楽が家のあちこちにあり、誘惑が多いですが、サードプレイスオフィスは公共の空間ですので、シンプルに仕事のことだけを考えられます。
また、仕事に適した備品やインターネット環境等が整っている点も、大きな利点の一つです。サードプレイスオフィスとして適しているコワーキングスペースには、仕事で使う際の備品貸出が充実していることが多く、また、無料で一定時間貸してもらえるスペースも多く存在します。備品の種類はさまざまで、たとえば、ディスプレイ・マウス・キーボード・充電ケーブル...などの端末の周辺機器から、ペン・テープ・クリップ・クリアファイル...などの文房具類まであります。自宅でそのすべてを揃えるのは初期費用がかかりますし、一気にすべて整えるのは労力を必要とします。その点、コワーキングスペースであれば、施設の利用料金を払えば無料で備品を貸し出してもらえることも多く、仕事用の備品を都度持ち込む必要がなくなるので、手間が少なくて済みます。もちろん、仕事に適した机と椅子があることも忘れてはいけません。家に仕事用のデスクがある人は少ないのではないでしょうか。急なテレワークで、リビングの机や、長時間座ることに適していない椅子などを使用して働いた人もたくさんいるのではないかと思います。
働く環境によって、仕事のパフォーマンスに大きな影響がでます。環境には「仕事へのモチベーションが高まりやすいか」「仕事をする上で必要な備品が整っているか」がとても大切です。
だからこそ、プライベート100%だった自宅に仕事場を設けるのではなく、第三の場所「サードプレイス」に仕事場を構える働き方の選択肢を設けた方がいいと考えているのです。
サードプレイスオフィスを設けることは、企業にとってもメリットがある!
サードプレイスオフィスの導入は、従業員はもちろん、導入する企業側にも大きなメリットがあります。
たとえば、社内にリモートワークの体制が整い、本社以外の場所を柔軟に「サードプレイスオフィス」として活用することができれば、従業員はサードプレイスオフィスで働くことを選べるようになります。
そうなると、新しく人を雇おうとしたときに、必ずしも本社への出社を前提に雇用しなくてよくなります。全国にあるサードプレイスオフィスで働くことができれば、どこで働いても問題がないからです。そのため、場所に縛られずに優秀な人材を全国で雇用する機会が増えることになります。働く場所の問題で躊躇している人材を、幅広く採用の対象とすることができるので、Uターン転職やIターン転職を考えているような、「今は仕事の都合で都心に住んでいるけど、いつかは地方で今のキャリアを継続しながら働きたい」と思っている方にも魅力的な求人になるはずです。
当社は、自社が運営するコワーキングスペース「anyplace.work 富士吉田」をサードプレイスオフィスの一つとして、用意しています。山梨県の富士吉田市にあり、東京から高速バスで1時間強の場所に位置しています。こちらのスペースでは、これまでに2名がUターン転職をして、3名がIターン就職をしています。この5名の中で一番最初にUターン転職をした社員は、家庭の事情からUターン転職を決意しました。
Uターン転職を決意した当初は、選べる職種が東京に比べて地方では限られてしまうことから、未経験の職種への転職も視野に入れていました。しかしながら「サードプレイスオフィス」の仕組みを活用することで、富士吉田市に比較的近い地元にいながら、これまで培ってきたスキルを活かして仕事ができることや、東京へのアクセスのよさから、これまでの人との繋がりを継続しながらのUターン転職ができることを知り、転職を決めました。
他にも、地方での転職には、処遇面や生活面で、首都圏よりも低い条件で就職・転職しなければならいのではないか?といったネガティブなイメージがありましたが、クラウドツールを活用して、東京本社の仕事をそのまま富士吉田でできる環境が用意されていたため、場所の制約がもたらす弊害を解消することができました。
このように、働く場所の制約を解放することは、単に従業員・企業にとってのメリットだけにとどまらず、近年問題になりつつある東京一極集中を回避し、地方の人材を活用することによる地方創生や、ひいては新しい雇用を創出していくという価値を生み出すこともできるのです。
また、サードプレイスオフィスで働く従業員が会社の中に一定数いれば、従業員が増える度に本社の面積を増やす必要がなくなりますので、オフィス賃料のコストダウンにつながります。さらに、全国のさまざまな場所で働くことができるというのは、従業員のライフステージの変化に合わせても柔軟に対応できるので、結婚や介護などのプライベートな事情による離職を防止する効果があると考えています。
まとめ
緊急事態宣言が解除された今、私たちは改めて今までとこれからの仕事のあり方を見つめ直す時期にきていると思います。
会社として、一人にひとつの働き方を提供したい。
この思いは、単に会社や従業員の利便性や満足度を向上させることだけにとどまらず、働き方における多様な価値感を尊重し、働き方の未来を新たに創造するための道しるべになると考えています。
そのために、私たちができること。それがポストコロナの社会に「サードプレイスオフィス」の発想を広めていくことだと考えています。
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