社員がイキイキと働ける環境ってなんだろう 〜新型コロナウイルスの影響で「あたりまえ」だと思っていた働き方を変えたレポート〜

広報担当の松永です。

今回は、新型コロナウイルスの影響で「あたりまえ」だと思っていた働き方を見直して、社員がイキイキ働ける環境をどうつくるのかを模索していた、2020年2月から今日に至るまでのことをレポートにまとめました。

長文になりますが、どうぞ最後までご覧ください。

2020年2月、日本が新型コロナウイルスの怖さを実感し始めた

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2020年2月、私達は新型コロナウイルスによって、身の回りが少しずつ「いつもどおり」ではなくなっていくのを体感していました。

大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号での集団感染や、国内で初めて渡航歴のない日本人女性が亡くなるという悲しい出来事から2月スタートし、日を追うごとに世の中に新型コロナウイルスに関するニュースが多くなってきました。

それでもまだ2020年東京五輪聖火リレーのリハーサルが都内でおこなわれ、盛り上がりを見せていましたが2020年の東京五輪は、翌月の3月24日に延期の判断がされることになりました。

2月下旬には、政府が首相官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部の会議を開き、拡大防止に向けた基本方針を策定。その後、政府はコンサートやプロスポーツなどの大規模イベントについて、2週間の開催自粛を要求し、プロ野球は、オープン戦の残りすべてを無観客試合とすることを決めました。

教育の場でも、動きがありました。私立を含めた全国全ての小中学校、高校、特別支援学校、3月2日から春休みまでを臨時休校にすることが決まったのです。世の中では、子どもにご飯を食べさせるために、買いだめをする方が多く発生して、都内のスーパーではお米が一時品薄状態になりました。

北海道では緊急事態が宣言されましたし、大型テーマパーク(東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)は揃って2月29日から3月15日までの休園を決めました。

ここまで書いた流れがわずか1ヶ月の間に起こったのです。

明らかにこれまでとは違う世の中の雰囲気を誰しも少なからず実感し始めた、大きな節目の月であったのではないかと思います。

このような状況新型コロナウイルスとは別の、新しく広まったものがあります。

それは、「テレワーク・リモートワーク」です(2つの表現方法がありますが、同じ意味を指します)。

3密を避けるために、仕事場への移動を極力少なくした「働き方」の認知度が急激に向上しました。

「テレワーク・リモートワーク」に関する認知度を向上させた大きなきっかけは、有名企業一斉テレワークが開始されたことから始まるのではないかと考えます。

電通は、2月26日から汐留電通本社ビルに勤務する全従業員の約5000人を対象に「在宅リモートワーク」を実施すると決めました。化粧品大手の資生堂も同じ日に従業員およそ8000人を対象として、テレワークとすることを発表しています。

有名企業が一気にテレワークを大規模に導入し、さらに、ニュースでも大きく取り上げられたことから、中小企業の意識も徐々にテレワークへと向き始めました。

当社も2月26日から、渋谷にある本社への出社を原則禁止として、ほとんどの社員がテレワークで働けるように環境やしくみを整えてきました。

今回は、新型コロナウイルスの影響で「あたりまえ」だと思っていた働き方を変えた当社の取り組みについて、お伝えしようと思います。

「リモートワーク・テレワークを導入したけど、なんだかうまくいかない...」

「アフターコロナ時代は、どんな働き方をするのがいいんだろう...」

と考えている方にこそ、読んでいただきたい記事です。

最後まで、ぜひご覧ください。

新型コロナウイルスの騒ぎがおきる前は、どんな「働き方」をしていたか

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ここで、2020年2月より前の当社の働き方について、触れておきます。

当社は、新型コロナウイルスの騒ぎがおきる前から、一人ひとりにパーソナライズされた働き方を提供しようという考え方のもと、積極的にテレワークの推進をしていました。

まず、環境面では、オフィスという場所にこだわらず働けるようにするために、基幹業務をおこなうためのソフトウェアクラウド上の仮想サーバーに置いて、リモートデスクトップ接続で業務ができるようにしていました出退勤はクラウドサービスを使用して、給与明細も紙ではなくインターネット上で閲覧できるようにしていましたし、チャットツールやWeb会議ツールを使用することで、隣の席で働いていなくても、リアルタイムでやり取りができる場をつくっていました。

また、社内には「リモートワーク制度」を用意していました(制度の詳細は、こちらからご覧ください)。普段、渋谷の本社で出社している人も、この「リモートワーク制度」を活用することによって、自分の働きたい場所で働けるようになるという制度です

これまでは、極力「どんな場所」「どんな端末」でも働ける環境づくりをしようという方針のもと、離れた場所で働くための環境づくりや、社内の制度設計をしてきました。

2020年2月、キャップクラウドの働き方はどう変化したか

はじめに、2020年2月26日から「渋谷に出社する社員の原則出社禁止」をすることを決めました。これは、中小企業の中ではかなり早い段階での決断です。有名企業がポツポツとテレワークをすることを宣言している中、実は当社も同じタイミングで「テレワークの全社導入」を決めたのですこのタイミングで渋谷への出社を禁止したのは、渋谷という人が多く集まる場所に集合しないことで、人から人への感染を防ぎたいという想いからでした当時のニュースリリース)。

これまでも、さまざまなツールやしくみを活用して、多くの社員がテレワークをすることができるようにしていましたが、「渋谷への出社禁止」したのは初めてのことでした。

これまでのテレワークと大きく異なるのは、「テレワーク時に事前の許可が必要ない」ことと、「やむを得ない場合に渋谷へ出社するときには、朝と夕方のラッシュ時間を避けた時間に移動すること」という2点で

また、世の中の動きに合わせて、働き方の体制を整えるための決まりを常にブラッシュアップして、チャットツールを活用ながら社内へ発信するようにしました。

「決まり」の中で、とくに重要視していたのは「テレワークのルール」です。テレワークをするときに定めていたルールについて、ご紹介します。

テレワーク中のルール

改めて、テレワーク中のルールを定めて、社内周知をしました。

ルール大きく分けて3つあります。

1)受電対応できるようにしておくこと

2)業務中は、Web会議ツールを立ち上げて、同じ部署のメンバーと繋げておくこと

3)出社時とできるだけ同様のコンディションを保つこと

(2)に関しては、ちょっとイメージしづらいかもしれません。

ここで実現したいのは、会社にいたときと同じように、となりで働いている人の様子が分かる環境づくりです。テレワークをしていると、自分ひとりの世界に入ってしまい、同僚とのコミュニケーションロスが発生しやすくなります。これまでは隣の席にいたからこそ、「これってどうやるの?」といった気軽な質問ができましたが、仕事場に1人でいたら、なかなかその機会つくることができません。そのため、あえて、部署単位でWeb会議を立ち上げて、業務中は常に繋げておき、パソコン上にバーチャルなオフィス空間をつくっておくのです。普段は音声を切っておいて、必要なときはオンにして声をかける。話が長引きそうなら、必要なメンバーだけ集めたWeb会議の部屋に集合して、会議をする。そんな使い方をしています。

(3)に関してですが、これはあたりまえのようで、明記が必要な項目でした。

コンディションには「自分の体調」と「仕事の環境」の2つの要素があります。基本的に、当社のテレワークでは、本社に出社しているときとできるだけ同じコンディションを求めています。環境面に関して、整えるために必要なことを洗い出して、一つひとつ対応するしかないのですが、「自分の体調」は突発的に変化をするため、どのように判断するのかが非常に重要です。たとえば自宅でテレワークをしようとした場合、移動時間は0分になりますし、多少体調が悪くても、自分の家という安心感からか、無理に働くことができてしまいます。ただ、求めているのは「会社に出社しているときと同様のコンディションを保つこと」です。そのため、「無理ができてしまう」環境でテレワークをするときには注意が必要なのです。離れている環境だからこそ、上司部下の体調の変化気が付きにくいですし、自分の力で「体調が悪いから、仕事を休もう」と判断できるようにしておきたいと考えています。

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仕事をするために使用していたクラウドツール

仕事をするときにどのようなクラウドツールを使用していたか、具体的に紹介します。

<ツール>

anyplace 
打刻ロケーションシステム  
 使用目的:
誰がどこでいつ働いているのかを確認するため

Chatwork 
チャットツール
 使用目的:仕事のやりとりをリアルタイムにおこなうため

Zoom 
Web会議ツール
 使用目的:会社にいたときと同じように、同僚の様子を分かるようにするため
  (テレワーク中のルール(2)で紹介したツールです)

Google ドライブ  
Microsoft OneDrive
 →オンラインストレージサービス
 使用目的:どんな場所・どんな端末でも資料を確認したり、共有できるようにするため

BIZTEL 
クラウドPBX
 使用目的:場所に囚われずに受電対応をできるようにするため

kintone
 →Webデータベース型の業務アプリ
 使用目的:顧客管理や販売管理など、会社の基幹業務をできるようにするため

クラウドサイン
→電子契約サービス
 使用目的:押印や郵送の業務をすべてオンラインでできるようにするため

このように、クラウドサービスを活用することによって、本社にいるときと同じ業務環境を整備することに努めました。ただ、実は上記に書いた全てのツールは、2020年2月より、ずっと前に導入が済んでいました。ですが、以前は一部導入であったため、この機会に全社導入として、運用を開始したのです。以前から使用していた人が多かったこともあり、大きな抵抗感はなく、比較的スムーズにツールを使用できるようになっていたような印象です。

実際、業務はどうだったか

結論、出社禁止期間中も、通常通りお客様対応を続けることができました

「対面」でやっていた営業やお客さまサポートは基本的にすべて「オンライン」に切り替えました。

ちょっとした対応であればチャットやメールを利用し、実際に顔を見ることや、資料を見る必要があれば、Web会議ツールを活用して、まるでその場にいるようなリアルな空間を用意することで、対面ではなく、オンラインで業務をすることができたのです。また、電話はクラウドPBXを使用することで、会社にかかってくる電話を本社以外でも対応できる体制を整えていたため、電話でのお客様対応に関しても、スムーズにいつもどおりの業務がおこなえました。顧客情報はすべてクラウドツールの顧客管理システムを使用することで、会社にある分厚いファイルを参照しにいくような、物理的な制約を受けることもありませんでした。

2020年2月、キャップクラウドの働き方はどう変化したかというと、劇的に変わったわけではなく、むしろ「ブラッシュアップができた」とい印象でした。

なぜなら、当社の中ではテレワークを平時から例外的な働き方としては考えておらず、出社して仕事をしている際にもテレワークの社員と同様の仕事ルールで業務をおこなっていたからだと考えています。

そのため、出社禁止期間のスタートこれまで使っていたクラウドツールの導入範囲を見直し運用ルールを全社で再確認するところから始められました。また、テレワーク中のルールを「なんとなく」ではなく明記することで、誰にとっても分かりやすい仕事の環境を整えられたのではないかと思います。

当社にとって、「渋谷に出社する社員の原則出社禁止」というのは、かなりポジティブな出来事であり、これからの働き方を考える上で、貴重な機会となりました。

2020年2月〜5月までの社内イベントはどのように開催したか

2020年2月から5月の間には「入社式」「新入社員の歓迎会」「社員総会」など、会社の中でも大きな役割を持つ行事が開催されましたが、その全てをオンラインで実施しました。

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入社式は、新入社員1名と人事担当以外は、すべて自宅からの参加としました。

私も入社式に自宅から参加していましたが、普段の入社式と変わらない緊張感があり、自宅というパーソナル空間にいながらも、きちんと入社式の会場にいるような、そんな感覚がありました。

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▲新入社員の歓迎会

歓迎会では、「Web飲みしながらクイズ遊び」ができるという「REMOQ(リモキュー)」を使用しました。離れた場所で繋がるからこそできるミニゲームも、今後ますます増えていきそうですね。

社員総会は5月下旬開催しました合計33名が参加して、画面いっぱいに参加者の顔を映し出しながら、実施しました。また、普段は1対多のコミュニケーションしかとれないイベントですが、Webカメラを通すと、司会者・登壇者・参加者のすべてがフラットな環境になるので「みんなで総会をつくっている感覚」があり、これは新しい発見でした。実際に参加した社員も、「普段遠方でなかなか参加できない社員総会に参加することができてよかった」「手元で資料が確認できるので、大きな会場で前に映し出すよりいいかも」といった前向きなアンケート回答が得られました。

「渋谷への出社禁止」をした後の変化はなにがあったか

まずは、働き方に制約をもたらす業務の発見がありました。

第一に「ハンコ問題」です。当社が発信する契約書は電子契約サービス利用していますが、他社から送っていただく紙の契約書が多く、結局ハンコを押すためだけに会社の代表が出社しなくてはいけないということがありました。双方で電子契約サービスを導入できていれば、ハンコのためだけに会社に行くようなことはなくなるのに...、と思いますが、全ての会社が導入するには、まだちょっと時間がかかってしまいそうですね。

つぎに、「郵便物受け取り問題」です。会社同士の公的なやりとりは郵送が基本になっているので、郵便物は会社で受け取る必要があります。また、実際に会社に行かないと何が届いているのか、どのくらい重要でいつまでに見なくてはいけない書類なのかを把握することができません

「◯◯しないといけないから会社に行く」という、この「◯◯」を無くしていくことで、働く場所の自由度はもっと高めていくことができると考えています。当社先陣を切って、いろいろと取り組んでいきたいと思います!

「渋谷への出社禁止」をした後の変化としては、「従業員の意識改革」もありました。同僚が全員離れた場所で仕事をする環境だからこそ、クラウドツールをフル活用して、報連相の徹底・業務時のパフォーマンス向上を意識するようになりました。また、仕事中に不意に発生するコミュニケーションの機会がなくなってしまったからこそ、チャットで送るテキストメッセージにはできるだけ絵文字や顔文字を付けて温度感を分かりやすくしたり、打ち合わせ前のアイスブレイクのネタを充実させたりと、従業員が個々で工夫を凝らして、なんとかコミュニケーションを取ろうとしていました。会社の取り組みとしては、リレー形式で各部署の代表者が「自分ゴト」を語る単発企画をチャット上で展開し、多くのコミュニケーションの機会をつくること実施し、会社のスタンスとしても「仕事に直接関係はないけど、なくても困らないけど、コミュニケーションの機会を大切にして、心を豊かにしよう」というメッセージが発信できたように思います。

結論、一部の働き方に制約をもたらす業務はありつつも、概ね問題なく、出社禁止期間を過ごすことができました。自宅などのオフィス以外の場所で仕事ができることも体験できて、また、ネックになりそうだったコミュニケーションの問題も従業員の前向きな気持ちがあったからこそ、特に問題は発生せず、むしろ、新しい文化形成に寄与する結果となりました。

この結果は、当社の代表である萱沼の今後のアクションを後押しすることができました!

以前より萱沼が代表を務めるキャップクラウドは、一人ひとりにパーソナライズされた働き方が今後世の中に必要になるとの考え方を念頭において、さまざまなサービス提供してきました。

今回、従業員の意識改革ができたことがきっかけで、さらに「働く場所や時間の選択肢は企業の中に一つではなく、従業員ごとにパーソナライズすることで、社員がイキイキと働ける環境がつくれるのではないか」との想いを強めることができました。また、働き方がパーソナライズされることにより、仕事に制約を受けないライフスタイルを手に入れることができるのではないか」との考えのもと、新しい社内制度の整備に着手することが決まりました。

これからの働き方をつくる「働き方選択制度」の整備

これまでは、「会社で働く」か「テレワーク」かの2択でしたが、より従業員にパーソナライズされた働き方を提供するために、会社の中に働き方を5つ設けることにしました。さらに、それぞれの働き方を金銭的にもバックアップすることで、「働きやすさ」に関しても気を配った制度になっています。制度についての詳細はこちらからご覧ください。

目まぐるしく変わる世の中に事情や、家庭環境の変化に合わせて、会社で働く一人ひとりが活躍できる環境を整えたい。そのために、今よりもっと、働く場所と時間の選択肢を増やしていきたい。そう考えています。制度の運用は2020年6月からを予定しているので、今後の当社の働き方については、随時こちらで発信していきたいと思います。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!

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