急速に拡大、統一されるアジアの「人・仕事・物・情報」の流れを読む ~個のビジネスチャンスが広がっている今、必要とされるシゴトとは~

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今回のテーマは「急速に拡大、統一されるアジアの「人・仕事・物・情報」の流れを読む ~個のビジネスチャンスが広がっている今、必要とされるシゴトとは~」です。

今回は株式会社エボラブルアジアの代表取締役社長 吉村英毅様に取材をさせていただきました。

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▲代表取締役社長 吉村英毅様

1982年生まれ
大学在学中に株式会社Valcom(2009年10月株式会社旅キャピタルに吸収合併)を創業。
2007年 株式会社旅キャピタルを共同創業し、同社代表取締役社長に就任。2013年、株式会社エボラブルアジアへ社名変更。2016年3月、東証マザーズに上場、2017年3月、東証一部上場を果たす。

急速に拡大、統一されるアジアの「人・仕事・物・情報」の流れを読む ~個のビジネスチャンスが広がっている今、必要とされるシゴトとは~

松永:株式会社エボラブルアジア様は、人の移動や仕事の移動の際に生じるビジネスの機会を収益化し、さらに成長させている企業だと伺いました。はじめに、なぜ「移動」にこだわったサービスを提供されているのか、教えてください。

吉村:これからアジアが経済的な意味でも、人口的な意味でも世界の中心を担っていくことはほぼ全員が考えることだと思います。その中で、アジア圏内における、人・仕事・物・情報は絶えず動きがあり、これからますます加速・活性化していくと考えています。当社が提供しているオンライン旅行事業は、まさにそこにおける「人の移動」に関わるところです。ITオフショア開発事業は「仕事の移動」に関わる事業ですね。これからアジア経済が広がっていくときに、個の動きがどんどん加速していって、個におけるビジネスチャンスはますます広がっていくと思うんです。そこをビジネスチャンスと捉えて、ビジネスを拡大していきたいというのが当社のイメージです。

松永:移動に関する事業としてあげられていた、「オンライン旅行事業」と「ITオフショア開発事業」のビジネスの仕組みについて詳しく教えてください。

吉村:まずは、市場を選択して、そこの市場でどうやって戦っていくのかを分けてお話しますね。市場選択ですが、現在のオンライン旅行事業とか、インバウンド事業とか、ITの開発事業とか、そういう大きな市場と思われるが今現状ニッチ(隙間)な市場を選んでいます。ですが、これから外部環境の変化によって、市場がものすごく変わると考えています。ただ、現状ニッチであるがゆえに、競合環境が比較的ゆるやかですね。

例えば、国内線のオンライン旅行事業においては、国内線のWeb販売が得意なんです。業界最大手として、サービスを提供しています。この市場は、今まで国内線といえば、JAL、ANAの基本的に2社しかなかったのですが、航空キャリアが増えてきたので、選択肢が増えてきたことが大きいです。直近だとLCCが2012年に解禁になりましたよね。

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LCCが入ってきた当時は時間に遅れたり、路線が不便だったりして、LCCに乗って移動することを選択する人が少なかったんじゃないかと思います。でも、今は時間もほぼ大手航空会社並みになり、路線もかなりよくなってきました。そうなってくると、選択肢が広がってきます。たくさんの航空会社の中から、自分に一番合った便を探すことが当たり前になるんです。

比較するためには、比較する場所が必要です。それが、国内線における「比較・検索マーケット」です。実は、旅行業界において日本の国内航空券だけが比較・検索できるようになっていなかったんです。国内航空券を直販で買っている方の方が多かったのではないでしょうか。さきほどの繰り返しになってしまいますが、やはりこれは「比較・検索マーケット」ではなかったからです。この市場は大手の強豪プレイヤーがいなかったため、エボラブルアジアが入り、比較的早い段階で業界最大手になりまして、現在は順調に市場を拡大しています。

松永:仕事をしていく上で、今後ますます個の移動が活発になるからこそ、日本のいろいろな場所で仕事をするビジネスマンにとって、大きな味方になるサービスですね。ITオフショア開発事業のビジネスはどのような仕組みなのでしょうか?

吉村:ITオフショア開発事業は、オンライン旅行事業の自社開発のために2011年に拠点をつくったところからはじまります。オンライン旅行事業のサービス開発にはシステムが非常に重要となります。以前は東京でがんばって開発してきたのですが、それがボトルネックになることが多かったですね。ですので、思い切って海外につくろうと決めまして、ベトナムで15名ほど採用しました。実際にベトナムで開発するというのは、非常によかったです。開発者のクオリティが想像以上に高かったのも大きな理由ですね。それであれば、オンライン旅行事業の開発だけをする場所にしてはもったいないと思いまして、ITオフショア開発事業としてお客様に提供しようということになったんです。

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はじめてみると、大体2年くらいでエボラブルアジアが東南アジアにおける日系オフショア企業として最大手になりました。現在はベトナムで約750人を正社員で雇用しています。東南アジアにおける日系オフショア開発としては2番手の2倍くらいの規模になりました。

松永:エボラブルアジアが提供している「ITオフショア開発事業」の優れている点にはいったいどんなことがあげられるのでしょうか?

吉村:大きな点としては「ラボ型」であることがあげられます。通常のオフショア開発事業というのは、比較的受託開発で受けることが多いのですが、エボラブルアジアでは、お客様ごとに専属のエンジニアチームを提供しています。これを当社では「ラボ型」と呼んでいます。

ラボ型にすると、エンジニアに対する作業指示や進捗管理をクライアントができるようになるので、つくってほしいものを最初に指示してあとは出来上がるまでただ待ってる、といったことがなくなります。つくり上げる過程に直接関わることができるので、最終的にまったく違うものが出来上がる心配もないですし、細かい修正にも臨機応変に対応しながら進めてもらうことができます。これが主にWeb開発をされている会社から非常に評判がよかったですね。

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なぜWeb開発をされている会社から評判がよかったのかというと、Web開発の場合は開発仕様を全部決めてしまってから進める「ウォーターフォール型」の開発というより、つくりながら中身を固めていく「アジャイル型」で開発をされているからですね。

今まで「アジャイル」というと、特徴の一つとして、外注がなかなかできないことがありました。仕様を固めてから開発をするのではなく柔軟に開発方法などを変更していて、再見積もりを繰り返していると開発が進まなくなってしまうからです。なので、全部自社で抱えるしかなかったんです。

ですが、当社は「お客様ごとに専属のエンジニアチームを提供して、お客様に作業指示や進捗管理をしていただくシステムなので、自社の社員と同じように100%コントロールができます。これであればアジャイルの開発を外に依頼したい会社でも問題ないので、一気に広まったわけですね。

松永:これから、エンジニアの人員規模をどのように拡大させていく予定なのでしょうか?

吉村:現在は、約750名くらいです。これでも東南アジアにおける日系の最大手なのですが、2020年までに2000名から3000名まで規模を大きくしていこうと考えています。そうすると、全世界で日系としては最大手になります。

松永:これから、日本の労働者人口が減少することを考えると、開発にかけるお金や時間が十分に確保できなくなってくることが考えられますね。そうなってくると、ますます海外に開発の仕事を依頼しようという動きが活発になるのではないかと改めてお話を伺っていて感じました。

オンライン旅行事業においても、ビジネスの場所が様々なところにある今、航空券選びに毎回時間をかけて様々な場所で比較・検索する手間が省ける仕組みはとても嬉しいです。慣れていない人ほど、手間をぐっと減らすことができるので、本来の業務に専念できるというわけですね。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!

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