ひとりが複数の働く場所を選択できる仕組みをつくって得られたこと

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「朝一で満員電車に乗って通勤し、夜遅くまで残業して帰宅する」といったように、一般的な都心のオフィスワーカーの生活サイクルは、会社と自宅が基点になっています。働き方の選択肢を増やし、自分らしい働き方を選択できる社会を目指すキャップクラウドでは、このような現状に一石を投じるための試みとして、「ひとりが複数の働く場所を選択できる仕組み」をつくりあげてきました。

その核となるのが、人生の大半を過ごす「働く場所」と「住む場所」です今回は、一般的な都心のオフィスワーカーが日常生活を送る場所について改めて振り返り、現状の課題点を抽出。そこでピックアップされた課題を解決するための方法として、当社も活用している、働く場所と住む場所の選択肢を増やすことができるサービスをご紹介していきます。

日常生活を送る場所について、もう一度考える

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当社では、冒頭で述べたように、日常生活を送る場所が限定的な生活サイクルにはリスクがあると考えています。そして、これらのリスクを回避するためには、働く場所を柔軟に選択できる仕組みづくりが必要です。

まずは、現状の生活サイクルが抱えるリスクと、働く場所の選択肢が増えることで受けられる恩恵について、従業員と企業のそれぞれの視点から確認しておきましょう。

従業員の視点で考えるリスクと恩恵

従業員、つまり一般的な都心のオフィスワーカーが働く場所を柔軟に選択できるようになれば、仕事だけではなく、プライベートまで含めた人生設計に大きな影響を与えることになります。

【リスク】

・QOLの向上を阻害する

仕事をするために必ず本社へ出社する必要があるなど、これまで当たり前とされてきた働く場所が限定的な勤務スタイルでは、人生のさまざまな局面において、不本意な選択を迫られる場面も少なくありません。

新しいことにチャレンジできない」「家族の希望に応えられない」「行動できる範囲や時間に融通が効かない」など、必然的にQOL(※1)の向上が阻害されてしまいます。

※1 QOL...Quality of Lifeの略称。「人生の質」や「生活の質」と訳される場合が多く、医療や介護などのさまざまな分野で注目されている、人生や日常生活の満足度を表す指標のひとつ。

【恩恵】

・シーンに合わせて働く場所と住む場所を選択できる

短期的な時間軸で考えると、その時々のロケーションやコンディションに合わせて従業員が柔軟に働く場所を選択できるようになれば、生産性の向上が期待できるだけではなく、働く場所と紐づいていた住む場所の制約からも解放されます。

自然が豊かな環境で集中して業務をこなす」「対面の打合せ時には都内の拠点で仕事をする」など、シーン毎に応用を利かせられる働き方は、従業員のストレス軽減の観点から考えても重要です。

・ライフステージの変化に柔軟に対応できる

また、中長期的な時間軸で考えられる恩恵としては、出産や育児といったライフステージの変化にも柔軟に対応できることが挙げられます。

ご自身のライフステージの変化はもとより、「お子様が小さい間は自然が豊かな地方でのびのびと子育てをする」「中高生になったら教育環境が充実している都市圏へ移動する」など、ご家族一人ひとりのライフステージに合わせて働く場所や住む場所を選択可能です。

企業の視点で考えるリスクと恩恵

昨今よく耳にするSDGs(※2)やCSR(※3)といった言葉が示すように、現代の企業は、あらゆる角度からサスティナビリティ(※4)を求められています。働き方の制度もそのひとつであり、働く場所が固定されているか否かが今後の企業活動の命運を左右すると言っても過言ではありません。

※2 SDGs...「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、発音は「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」。2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟国が2016年から2030年までの期間に達成することを目指して掲げた、17の目標・169のターゲット・232の指標の3階層からなる開発目標。

※3 CSR...「Corporate Social Responsibility」の略称。「企業の社会的責任」と訳され、これまでは雇用や納税に対する意味合いが強い言葉であったが、昨今では「企業の社会対応力」として、後述するサスティナビリティを含んだ意味合いが強い。

※4 サスティナビリティ...「持続可能性」を意味する言葉で、「人間活動や自然環境が多様性と生産性を失うことなく、長期的に継続できる能力」全般に対する概念を指す。広義的には、「環境・社会・経済」の3つの観点から持続可能な世の中にしていくという考え方。

【リスク】

・万全なBCP対策を策定できない

自然災害や大火災、テロ攻撃などの緊急事態に備え、企業が策定すべきリスクマネジメントであるBCP(※5)対策も、働く場所の選択肢がなければ不完全なものとなります。もし本社機能がひとつの場所に集約されているのであれば、有事の際の復旧対応が困難を極めることは想像に難くありません。

※5 BCP...「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の略称。企業が緊急事態に遭遇した際に、事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続・早期復旧を可能とするために、平時に行うべき活動や有事における事業継続の方法を取り決めておく計画。

・優秀な人材を獲得しづらい

すでに深刻な社会問題となっている少子高齢化が進む国内において、企業の人手不足は避けられない現状です。生存戦略としては地方での人材獲得、さらに言えば優秀な人材の獲得が必須となりますが、働く場所が固定されている従来の雇用条件ではままなりません。

今後、企業が地方での人材獲得に舵を切るべき理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。

▼「地方での人材獲得がこれからの企業に必要な理由」
https://shikumi-ken.jp/2021/03/hr-recruitment.html

【恩恵】

・ランニングコスト削減につながる

働く場所が本社のみである場合には、会社の成長に合わせてオフィスの規模も大きくする必要があります。しかしながら、働く場所を分散化することができれば、従業員数に見合った固定スペースの確保も不要となりますので、ランニングコストの削減が可能です。

「働く場所」と「住む場所」をもっと自由にしよう!

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前述したように、日常生活を送る場所が限定的である現状の生活サイクルにはリスクが伴いますが、働く場所と住む場所の選択肢を増やすことでこれらの問題を解決できます。

とはいえ、これまでは当たり前であった働き方への執着を手放し、新しい社内制度を設けることは容易ではありません。ここからは、当社の活用事例も交えながら、迅速な社内制度の整備に役立つ、働く場所と住む場所の選択肢を増やすためのサービスをご紹介していきます。

働く場所の選択肢を増やす方法

当社は、4つの選択肢の中から従業員が働く場所を自由に選ぶことができる「働き方選択制度」という仕組みを構築しました。本制度では、自社サービスである全国のワークスペース使い放題の法人向けシェアリングサービス「anyplaceパスポート」を活用し、働く場所を柔軟に選べるシステムを実現しています。

全国のワークスペース使い放題の法人向けシェアリングサービス「anyplaceパスポート」

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全国各地にある多様な提携施設をワークスペースとして利用できる法人向けシェアリングサービスです。テレワークのための環境が整ったワークスペースを確保できるだけではなく、打刻ロケーションシステム「anyplace」を活用した仕組みにより、テレワークにおける従業員の勤務実態をリアルタイムで把握できます。料金プランは、月の使用頻度や利用時間に応じて、「定額プラン」と「従量プラン」の2つから選択可能です。

▼全国のワークスペース使い放題の法人向けシェアリングサービス「anyplaceパスポート」
https://anyplace.jp/anyplace-passport/

住む場所の選択肢を増やす方法

どれだけ働く場所の選択肢が増えたとしても、住む場所の選択肢もセットで用意されていなければ、十分な社内制度とは言えません。当社では、自社の運営施設や連携施設、多拠点生活が可能となるサービスを活用し、全国各地に滞在できる仕組みを用意しています。

地方型シェアサテライトオフィスと宿泊機能を持つ共同運営型コミュニティ「LivingAnywhere Commons」

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画像出典元:LivingAnywhere Commons(株式会社LIFULL)

場所やライフライン、仕事など、あらゆる制約にしばられることなく、好きな場所でやりたいことをしながら暮らす生き方(LivingAnywhere)をともに実戦することを目的としたコミュニティです。当社が山梨県富士吉田市で運営するコワーキングスペースと、連携する市内の宿泊施設も、「LivingAnywhere Commons 富士吉田」としてプロジェクトに参画しています。

▼地方型シェアサテライトオフィスと宿泊機能を持つ共同運営型コミュニティ「LivingAnywhere Commons
https://livinganywherecommons.com/

多拠点コリビング(co-living)サービス「ADDress」

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画像出典元:ADDress(株式会社アドレス)

日本各地の「家」に、定額制で住むことができる多拠点コリビング(co-living)サービスです。全国の空き家問題と人口減少課題の解消に取り組み、都市か地方のどちらかではなく、都市にも地方にも住める多拠点生活を推進することで、「#全国創生」と関係人口創出を目指しています。当社が運営する短期滞在「.work RESIDENCE」も「ADDress 富士吉田邸」として登録されています。

▼多拠点コリビング(co-living)サービス「ADDress」
https://address.love/

連携する富士吉田市の宿泊施設

当社の運営するコワーキングスペース「anyplace.work 富士吉田」がある山梨県富士吉田市には、姉妹施設である無人コワーキングスペース「.work ANNEX」のほか、連携する複数の宿泊施設があり、各施設へのご紹介も可能です。さらなるワークスペースと滞在場所の確保にお役立てください。

・富士山北口御師 菊谷坊

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画像出典元:富士山北口御師 菊谷坊

▼富士山北口御師 菊谷坊
https://makibisi09.amebaownd.com/

・Hostel 1889

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画像出典元:Hostel 1889

▼Hostel 1889
https://hostel1889.theblog.me/

・ホステル 富士山・結 Hostel Fujisan YOU

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画像出典元:ホステル 富士山・結 Hostel Fujisan YOU

ホステル 富士山・結 Hostel Fujisan YOU
http://hostelfujisan.com/ja/

ひとりが複数の働く場所を選択できる仕組みをつくって得られたこと

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複数の選択肢の中から働く場所を選ぶことができ、全国のどこにでも滞在できる仕組みをつくりあげ、社内制度として実施する当社が行った社内アンケートでは、本制度で仕事が「非効率になった」と回答した従業員はゼロでした。実際に仕事の効率や生産性は高くキープされており、従業員からは概ね好意的な評価が寄せられています。

本記事でご紹介したサービスは、初期費用も抑えることができ、新制度の策定にあたりリソースがかけられない場合でも取り扱いやすいものばかりです。導入ハードルが低いにも関わらず、得られる効果は計り知れません。ぜひご参考にしていただけますと幸いです。

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