現実的に考えて「多拠点生活」はアリ?仕事や生活のリアルを経験者に聞いてきました!

多拠点生活を実践する中で感じたメリット・デメリット

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そのような経緯があったのですね。この数か月間で、ホストとキャンパーのマッチングだけではなく、アウトドア事業に特化したデベロッパー領域まで対応するビジネスモデルになったとはおどろきました。結果としてベストな選択をされたとのことですが、これまでの多拠点生活の中で、メリットやデメリットを感じるような出来事はありましたか?

そうですね。結論から言うと、デメリットに感じるような出来事はありませんでした。というのも、本格的に山梨を拠点のひとつにする前から、こちらには何度か足を運んでいたのですが、当時感じていた都市部と地方の仕事に対するスタンスの違いが杞憂であったことは間違いありません。たとえば、地方では都市部のようにビジネスライクにガンガンと話を進めていくタイプの方が少ないので、ネガティブな面で言えば閉鎖的な部分は残りつつも、お互いの仲が深まれば加速度的に話が進む傾向があると感じています。

たしかに、同様の話は私もよく耳にします。個人的にも、地方では都市部よりも深いコミュニケーションが必要になるイメージがありますので、塚﨑さんの覚悟や熱意が早々に伝わったのかもしれませんね。では反対に、多拠点生活のメリットについてはどのようにお考えでしょうか?

やはり豊富な自然環境の中で気持ち良く暮らせることが最大のメリットでしょうか。東京に居た時には無意識下で溜まるストレス量も多かったのですが、こちらではストレスフリーな状態を維持できています。また、メイン拠点を山梨に切り替えてからは、東京に戻ると逆に新鮮味を感じるようになりましたので、今くらいのバランスがちょうど良いのかもしれません。

実際に経験して気付いた多拠点生活で注意すべきポイント

おっしゃる通り、都会の雑踏の中で過ごしていると、地方と比べて無意識下で蓄積されるストレス量が多いかもしれませんね。以前よりもメリハリがつけられる生活になったかと思いますが、現在の状態に至るまでに得た、教訓のようなエピソードがありましたら教えてください。

実は、以前にも別の場所で多拠点生活をしていた時期があり、現在のスタイルは、そこでの失敗が活かされている部分も多いですね。特に、働くための環境が整ったワークスペースの存在は重要だと思います。当時は、自社運営のキャンプ場に滞在し、海辺で作業する毎日を送っていましたが、ハッキリ言って中長期的な滞在には向かない環境でした。

まさにワーケーションでよくありそうな環境ですが、たしかに、中長期的に滞在するとなれば生活面での苦労も多そうですね。

おっしゃる通り、短期間の滞在であれば楽しめるかもしれませんが、実際は仕事にならないことも多いですよ。また、複数の拠点を移動する生活なので、拠点同士の距離間も十分に検討すべきかと思います。私の場合、仕事やプライベートで何かあった際に、すぐに東京や横浜に戻れる距離間であることがマストです。

自分たちが今やるべきことにフォーカスできる地方の魅力

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▲移動のない日やスキマ時間には、メイン拠点のコワーキングスペースで集中してテレワーク!

拠点のひとつに富士吉田を選んだ理由

多拠点生活という自由なライフスタイルを実践する一方で、そうしたリスクマネジメントも徹底されているのですね。それでは、今お話いただいた「働く場所」と「距離間」の観点で考えると、富士吉田の環境はいかがでしょうか?

富士吉田には、テレワーク向けの設備が充実している「ドットワーク富士吉田(以下、ドットワーク)」や、24時間利用できる「.work ANNEX(以下、ANNEX)」といったコワーキングスペースがあり、働くために必要な環境は申し分ありません。距離間の面においても、車であれば約1時間15分で横浜の自宅まで戻ることができますし、高速バスを利用すれば都心まで約2時間という立地なので、いざという時にも安心ですね。

ありがとうございます。関東近郊であれば、この条件をクリアする地域はほかにも考えられたかと思うのですが、その中でも富士吉田を拠点のひとつに選んだ理由は何だったのでしょうか?

そうですね。先ほどもお伝えしたように、以前から現地とのつながりができていたことはもちろんですが、やはり当初の目的である、アウトドア事業をスケールさせる上で欠かせないキャンプ場の多さでしょうか。有名なキャンプエリアはほかにもありますが、富士山というシンボルがある山梨は、私たちの事業にとってかなり魅力的な土地です。実際に、富士山が見えるキャンプ場はどこも予約が取れないほど人気がありますので、その需要に対する受け皿を広げることがビジネスチャンスであると捉えています。

富士吉田での事業活動の成果

たしかに、コロナ渦に突入してから、より一層アウトドアブームに拍車がかかっていますし、需要に対する供給が追いついていない状況も想像できます。ただ、競合も激しい分野かと思いますので、その中でも遊休地とキャンパーをマッチングする仕組みを用いて、短期間で多くの受け皿を用意するというビジネスモデルはさすがですね。

キャンプ版のAirbnbは海外ですごく伸びている分野だったこともあり、まずはそこを起点に考えていました。ただ、国内ではリテラシーの問題などもありますので、CtoCからBtoC、そして自社運営へ徐々にフォーカスしてきたような流れですね。とはいえ、富士吉田へ来たばかりの春先の段階では、一度ゴールデンウィークに現地の様子を見て、感触が悪かったらすぐに撤退しようと考えていました。

良くも悪くも、コロナ渦がひとつの契機になったのですね。今こうしてお話を伺えているということは、ゴールデンウィークの様子は満足のいく結果だったということでしょうか?

そうですね。現在開発を進めている土地も含めて、富士吉田周辺にはいくつか自社運営のキャンプ場があるのですが、ありがたいことにゴールデンウィーク中は多くのお客様にご利用いただけました。特に、現地の企業とレベニューシェアで提供しているキャンプ場では、予約が取れないほどの盛況ぶりでしたので、本当の意味で決心がついたのはこのタイミングだったかもしれません。

富士吉田でのビジネス交流から生まれたサウナイベント

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▲山梨で出会った方との共同イベントや、参画する県庁のプロジェクトで大活躍のテントサウナ♪

そうした経緯があり、デベロッパー領域も手掛ける現在のスキームまでアウトドア事業を拡大されたのですね。ここまで戦略的な部分についてお聞かせいただきましたが、続けて人とのつながりの部分についてもお伺いできますと幸いです。具体的に言えば、富士吉田でビジネスにつながるような交流はありましたでしょうか?

本格的に山梨で活動をするようになり、ビジネス・プライベート問わずに色々な方と交流の輪を広げることができていますが、そのきっかけとなったのは、ドットワークでコミュニティマネージャーをされている方との出会いだったかもしれません。初めてドットワークを利用した日にご挨拶させていただき、そこで私たちがテントサウナを所有しているという話をしたら、それなら一緒にサウナイベントをやりませんかという展開になり、その日のうちに開催が決まりました。

出会った初日とは思えないスピード感ですね。先ほどの都市部と地方におけるビジネスに対するスタンスの違いの話の中で、プロジェクトの進行速度に関する内容もありましたが、このお話を聞く限りでは、あまり大差はないように思えてきます。

とりわけ地方では、人と人をつないでくれるコミュニティマネージャーの存在が大きいかもしれませんね。現在も定期的にサウナイベントを開催しているのですが、この活動が功を奏して、県庁が推進するサウナプロジェクトにも参画することができましたので、私たちからすると感謝の念しかありません。こうした活動も含めて、富士吉田では自分たちが今やるべきことにフォーカスして仕事に取り組めています。

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簡単に繋がる時代だからこそ!地方のビジネスマッチングは交流が鍵